分解
2024年07月30日
※この記事のリンクには、アフィリエイトリンクが含まれるものがあります。
こんばんは、わーくです。
KOMPLETE KONTROL M32社の万能ミニキーボード兼MIDIコントローラー「KOMPLETE KONTROL M32」の鍵盤の、いくつかの音が出なくなってしまいました。分解記事を探しまくったのですが、全っっ然見つからないので、諦めてぶっつけ本番で分解して修理することにしました。
結論から言うと、ネジが多いだけで分解は簡単でした。ただ、組み立てが厄介で、鍵盤Assyに接続されているフレキシブルケーブルが組み立て時のネジ穴の邪魔をしまくるので、一手間かかりました。なんならフレキが出荷時から圧力がかかってたせいで鍵盤に不具合が出たんじゃないか?ってくらいネジ穴の空いている柱と柱の間に入り込んできます。もし気付かなかったら、ネジでフレキを貫いて再起不能にしてしまうところでした…。というわけであまりオススメはしませんが、世界初公開(?)のKOMPLETE KONTROL M32の分解修理を写真入りでざっくりお伝えしようと思います。
メインのロータリーエンコーダーがクリッカブルなので、修理は必ず毛布を敷くなりして柔らかい場所でやりましょう。

このシールの下にもネジが1本隠れています。ですから、分解修理をするには「メーカーの保証や公式の修理を一切受けられなくなる覚悟」が必要っぽいです。このシール、ブックオフの値札くらい破れやすいので、やるからには戻れないことを自覚して進みましょう。

見づらい写真ですみません。お分かりいただけるだろうか・・・?なんとこのキーボード、ネジが「2種類」あるのです。もちろん間違えて組み立てようものなら、ネジ山破壊は必至です。ネジ穴はよ~く見ると大きさが違うので、何も考えずネジを外しても何とかなるかもしれませんが、気を付けるに越したことはありません。
ちなみに、太くて短いネジは主に外側の「裏蓋を支えるネジ」、やや細くて長いネジは、鍵盤のAssy等に入っていく「部品を固定するネジ」のようです。

というわけで、裏蓋を開けてみました。特に変わった仕掛けもなく、実にシンプルで美しい設計だと思いました。メインボードと、各コントローラー・鍵盤はフレキシブルケーブルで接続されています。今回の不具合は「鍵盤の一部から音が出ない=MIDIメッセージが送信されない」なので、おそらく鍵盤の接触が悪くなっているだけでしょう。
フレキシブルケーブルを1つ外すだけで、この鍵盤のAssyは簡単に取り外せます。キーはバネ式で、キーの押下 and ベロシティを検知する仕組みは、「高さの異なる導電ゴムが接地するまでの時間差を測定する方式」でした。導電ゴムっていうのは、ゲームのコントローラーの中に入っているアレですね。ということは、今回の故障は、「接点および導電ゴムの清掃、接点復活材の塗布」で直りそうです。勝利が見えてきた・・・!
これが導電ゴムと接点の(ひっくり返した)写真です。こいつらをティッシュとアルコール等で清掃して、最後に接点復活スプレーを軽く吹き付けてティッシュで余計な薬液を吸い取り、戻してやりました。
ちなみに、接点の基盤は4本のネジと、プラスチックのツメでがっちり固定されているので、外すときには壊さないように注意しましょう。
で、元通りに組み立てたところ、完全復活しました。ベロシティの感知も完璧です。これでまた数年使える・・・!よかった!結果的に、修理時間は30分程度で直りました(フレキ断線回避のため2回分解するハメになった分を含む)。
というわけで、KOMPLETE KONTROL M32を買い直すと、中古でも1万円くらいしてしまうところをほぼ無料で直すことができました。久しぶりによい結果がだせました!同じ方法で直せたのは、KORGのmicroKONTROL以来だなあ…って会社が違うのにKONTROL繋がりとは、運命を感じる!(雑
というわけで、もしお手元のKOMPLETE KONTROLキーボードのミニ鍵盤が接触不良だったときは、同じ方法で直るかも知れませんので、くれぐれも自己責任でお試しください。シールを壊したらメーカー修理は受けられないですからね。…とはいえ、修理の金額と中古品を購入する金額はほぼ五分五分なので、ダメ元で修理するのは正直アリだと感じました。
(01:27)
2021年08月29日
こんばんは、わーくです。
マスターキーボードとして使っているEX5ですが、ほぼ調子が良いものの、「アフタータッチが送信されまくる」という不具合を抱えておりました。
プリセットサウンドだと音色的に影響を受けないものが多いのですが、EX5から演奏したデータをCUBASEなどに取り込んだ時、もの凄い数のアフタータッチデータが記録されることになってしまいます。CUBASE側のフィルターでMIDI録音時に自動的に取り除くこともできますが、別のMIDIコントローラーからも録音されなくなる、という仕様。アフタータッチを利用する音色をたまーに使うこともあり、EX5を分解して修理できないものか・・・と試みました。
結果、改善しました。理想の動作には至らなかったものの、普通にピアノ音色で弾いている時に、アフタータッチが入りまくる現象は軽減されました。
ネット上に記事が少なかったので、参考にされる方もいると思い、分解記録を残しておきます。念のためですが、もしご自身で試される方は自己責任でお願い致します!
では、分解の様子をお伝えします。写真をたくさん撮ったのですが、全部に解説を付けているとものすごく長くなりそうなので、適当に端折って貼りつけて参ります。なお、EX5は分解時に数十本のネジを取り外す(そして締め直す)ことになるので、もし分解される際には電動ドライバーを用意されることをオススメします。
本体裏面です。手前が鍵盤側です。ほとんどのネジを外す必要がありますが、ゴム足のネジは外さないでOKです。

背面の大きい方のフタを外すとこんな感じになっており、SCSI端子などが見えます。ささっているのは、フロッピーディスクドライブのケーブルです。ケーブルの下に、コイン電池(CR2032)がちょこっとだけ見えます。ここから根性出せば電池交換は可能ですw
フロッピーディスクのカバーも外す必要があります。他の2枚のフタと違ってプラスチック製なので取扱注意です。
鍵盤のベロシティを感知するセンサーは、76鍵分が2枚の基板に分かれています。その基板それぞれに、写真のコネクタが付いています。両脇のレバーを開くと、コネクターが抜ける仕組みです。

センサー基板(2枚)を取り外しました。センサーの写真は撮り忘れました・・・ごめんなさい。しかも、センサー基板は意外をフニャフニャで、センサー自体も服に引っかけただけで曲がってしまうくらい軟弱モノなので、もの凄く気を遣って取り外してください。センサー基板のネジは、金色のネジなので、分かりやすいです。(他のネジは黒でサイズが違うものがあるので、部分ごとにまとめてネジを保管しておいたほうがよいと思います。)今度は写真の基板を取り外します。

今度は、鍵盤ユニットを支えている4本の太いネジ+3枚の金属板を取り外していきます。金属板は3枚とも同じ形なので、取り違えても(方向さえ間違わなければ)問題ありません。ただ、一番右の金属板の、右から2番目のネジが、これまたケーブルタイ(大)を支えているネジなので、覚えておきましょう。
これでようやく鍵盤ユニットを取り外すことができます!今回も目的は「アフタータッチが掛かりすぎるのを抑える」ですから、鍵盤ユニットをなんとかできれば、直せるかもしれません。
EX5はFS鍵盤なので、下記のサイトを見ながら調整をしようと思っていました。
でも、EX5の鍵盤はこのエレクトーンのものとは違います。ホリゾンタルタッチ機能は無いので、この両脇のセンサーだけがある・・・と思い込んで分解を進めてきましたが、全然そんなもの見当たりません。
で、気付きました。
この幅8mm程度のリボンに圧力が掛かると、抵抗値が変化して押した強さを検出する仕組みのようです。
リボン型のセンサーをググってみたものの、何Ωのものかも分かりませんし、1mくらいものもあまり出回っていないようです。で、諦めかけたその時。

YAMAHA X1930(ググっても無駄でした)という基板から感圧センサーが出てきてるのですが、この基板、ゲインつまみがついてる!!このゲインつまみ(VR1とVR2)を調整すれば、もしかしたら直るかも!?
というわけで、とりあえずデフォルト値をマジックでメモ。
この2つの値が何を調整しているのかは素人なので分かりませんが、調整しているうちに変化したのは「アフタータッチの最大値」「最小値」「送られる頻度」です。ただ、時計回りで大きくなる・・・とかじゃなくて、ツマミ2つの値の相対値で送信されるデータが変化します。ですから、私と同じ症状に悩まされている方も、このツマミの調整に関しては臨機応変にやるしかない気がします。
ちなみに、ツマミの調整中もEX5の電源は入れっぱなし、DAWにMIDI流しっぱなしで10分くらい試しました・・・危ないけど、変化の傾向も見えないのに電源ON/OFFを繰り返していたら何万年経っても終わらないと思ったので・・・(自己責任オブ自己責任)
で、最終的には
- 普通に弾いていてもアフタータッチが送信されづらくなった
- ちょっと力を入れても、ブワーって大量にアフタータッチが送信されなくなった
- ちゃんと0から127まで強さによって送信されている
状態までにはできました。
余談ですが、EX5はVoiceの設定の画面で、アフタータッチの送信値にオフセットや傾斜をつけることができるのですが、これを調整しても改善はしませんでした。最初は「オフセット-64にしておけば、アフタータッチの値が64以上じゃなければ送信されないはず!そして傾斜を2次関数曲線にすれば力強めでも0~127まで送信値のダイナミクスが出せるかも!俺天才!」と思って調整したのですが、なんとオフセットをマイナスに設定すると、「アフタータッチ0」というパラメーターが送信されまくるだけで、アフタータッチを送信されないようにはできませんでした。合掌。
(23:08)